サトシナカモトの理念と日本のビットコイン事情

2025年1月12日

ビットコインの思惑と現在

ビットコインは、世界初の分散型デジタル通貨として2008年に「サトシ・ナカモト」と名乗る人物またはチームが発表した論文“Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System”があります。

ビットコインの誕生とその理念

この論文では、金融機関を介さず、個人間で直接取引を行うという目的を基にしたシステムとして内容が記載されていました。
この理念に基づき、2009年にはオープンソースのソフトウェアが開発され、ビットコインシステムが実際に誕生する運びとなります。

ビットコインのシステムは従来の通貨と異なり、中央管理者を持たず「ブロックチェーン」と呼ばれる技術で管理されています。

この特性により、取引の透明性が高まり、不正や改ざんのリスクが低減される革新的なデジタル金融資産として注目を集める事となりました。

ビットコインの誕生当初の課題

ビットコインが登場した当初、世間からの評価は低く、一部では投機的な資産と見なされ、政治家や金融関係者からも軽視されていました。

ジェローム・パウエルFRB議長 （パウエル議長）は、ビットコインを「投機的資産」として位置づけ、金（ゴールド）と類似した特性を持つものの、不安定でリスクが高いと指摘
ドナルド・トランプ（トランプ大統領）は、１度目の大統領時代にビットコインを「詐欺のようなもの」と批判し、米ドルと競合する通貨であることを理由に否定的な見解を示していました。

ビットコイン市場の成熟と規制

近年、ビットコイン市場は大きな成長を遂げ、市場の流動性向上や規制の整備により、ビットコインETFが、当初批判的だった パウエル議長 によって承認され、機関投資家の参入が進むなど、投資資産としての地位を確立しています。

ETF承認の背景
1. 市場の成熟と取引量の増加
2. 規制の整備による投資家保護の強化
3. 機関投資家や個人投資家の需要増加
4. 金融市場の多様化への貢献

エルサルバドルがビットコインを法定通貨として採用したことも、分散型デジタル通貨の新しい可能性を示しています。
その一方で、資金力のある国や機関投資家などの参入、並びに規制や税収の導入によって、ビットコイン市場に影響を与える可能性があるともいえます。

ビットコイン創設時の目的は中央機関や政府の介入なしに、分散型のデジタル通貨を実現することでした。しかし、現在のビットコインの状況を見ると、一部の国々が規制を強化したり、自国のデジタル通貨を導入したりしているため、サトシ・ナカモトの意図とは異なる方向に進んでいるとも言えますが、ビットコイン自体は依然として分散型であり、中央機関によるコントロールを受けない点は変わりません。
国の介入はビットコインの普及や使用に影響を与えることはありますが、その核心的な特徴は保たれています。
通貨としての安定は期待できるものの、投資としての未来は狭まるとも言えます、ただし、ビットコインの総供給量の約99%は2035年頃に達すると見積もられているため、投資としての伸びしろはまだあると言えます。
ちなみに、マイニング報酬がほぼゼロに近づくのは、2140年頃に新規発行が停止されるといわれています。

日本のビットコイン事情

日本では、ビットコイン市場における課題が顕著です。第一次ビットコインブームでは、投資家の損失や取引所のハッキング事件が相次ぎ、市場への不信感が広まりました。最近では、2024年のDMM不正流出事件や金融引き締め政策により、日本での取引量が減少しています。また、トラベルルールの導入により、他国との差別化が進み、「ビットコイン鎖国化」の懸念も指摘されています。